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「総一朗が来て、良かったわね」
祖母は上機嫌だった。夕食の片付けが終わると
「ちょっと寝転んで」
そう言われるままに従う。
「胃が痛い時はここ揉んだらマシになるわよ」
そう言って背中を押してくれた。
「凝ってるわね、若いのに」
「若くなくなってきたよ」
「何言ってんの、これからよ。今からまだまだ、子ども産んで、育てて……先は長いわよ。おばあちゃんの年になってね、思い出すのは、やっぱり子どもを産んで……育ててる時の事よね。とても幸せだった。……ああ、今はあんなになっちゃって。可愛かったのよ、叔父ちゃんだって」
そう言って笑った。
「それくらい、素晴らしい経験。出来るなら、した方がいいわ」
「うん、出来るなら、したい」
「まぁ、今はしっかり休みなさい。お風呂、沸かしてあるから」
「うん、ありがとう」
随分と、胃痛が和らいだ。畳の匂い、木の匂い、祖母の匂い……
きっと、大丈夫。
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