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「柊晴兄ちゃんとは? どうやって知り合ったの? 」
「ん、友人の紹介」
「……あれ? ふーん……ベタなやつだ」
「そう。たぶん。だけどね」
思わずそう言ってしまった。
「ああ、そのへんは覚えてないんだ」
……そのへん?
「ねぇ、この前から随分引っ掛かった言い方するけど、何? 」
「あ、ごめん。そんなつもりは……えと、本当は、何でばあちゃんちにいるわけ? 」
……話、逸らした。
「……体調が悪いのよ。本当に」
「メンタルって事? 」
「メンタルから来た胃痛、それにより、色々。円形脱毛まで出来た。本当、ショック」
「……んー……でもさぁ、柊晴兄ちゃん、あんなんじゃん? 仕事もそんな重たいやつしてないよね? 何にストレス……」
“あんなん”?まぁ、確かに稼いでくれるし、優しいし、家事も出来るし……完璧な夫だよね。
私の視線がじっとりしていたせいで、総ちゃんが眉を下げて言った。
「うちの父さんにも、ばあちゃんにも言わないから、さ」
「言いたい事も言えない夫婦だからねー。柊晴は……優しいけど……何て言うか」
「優しいし、面白いし、エネルギッシュで……とりあえず、“光命”。悪いけど、初めて見た時は親戚一同、爆笑したから。好きだわー、俺も、あの人」
……。
「……誰の……事を……言ってるの? 」
私の言葉に総ちゃんが目を見開いた。
「何だぁ? まだそんな事してんのかぁ? 」
意味の分からない言葉が総ちゃんの口から出た。
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