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「あ、待て。んじゃ、それも……」
「総ちゃん、意味分からない」
苛立った顔を向けると、総ちゃんは微妙な顔。
それから……
「親戚一同に、怒られる」
そう言った。
「今、私に怒られるのとどっちがいい? 」
出来るだけ低い声でそう聞いた。総ちゃんは、一度長く息をふぅーっと出しきって、車を止めた。
「休憩。外、寒いけど、ちょっとだけ」
「うん」
そう言って外へ出た。
「で、体調は、大丈夫? 」
「え、ええ。まあ」
「円形脱毛は? 何ヵ所? 」
何ヵ所?
「え、1つだと思う。見てない。怖くて」
「へー……ちょっと見せて。……うん、あるね」
総ちゃんが私の髪を掻き分けてそう言った。……あるんだ。だよね。ふぅーっとため息が出る。
「見た? これ」
「見てないってば。ショック過ぎて」
「ごめん、ショックだろうけど……治らないよ、たぶん。で、見た方がいい」
「え? 治らないの? ……そんな……」
「いつ、気づいたわけ? 」
「……昨日」
「遅ッ! ぼんやりしてんな」
……ぼんやり?
「とりあえず、見たら? 話はそれから」
そう言って、くいっとサイドミラーを動かした。それに、私の手持ちミラーを合わせて、円形……じゃないのね。
長細い。結構大きい? 細いけど。
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