23.繋げるもの

6/10
前へ
/440ページ
次へ
「あ、待て。んじゃ、それも……」 「総ちゃん、意味分からない」  苛立った顔を向けると、総ちゃんは微妙な顔。  それから…… 「親戚一同に、怒られる」  そう言った。 「今、私に怒られるのとどっちがいい? 」  出来るだけ低い声でそう聞いた。総ちゃんは、一度長く息をふぅーっと出しきって、車を止めた。 「休憩。外、寒いけど、ちょっとだけ」 「うん」  そう言って外へ出た。 「で、体調は、大丈夫? 」 「え、ええ。まあ」 「円形脱毛は? 何ヵ所? 」  何ヵ所? 「え、1つだと思う。見てない。怖くて」 「へー……ちょっと見せて。……うん、あるね」  総ちゃんが私の髪を掻き分けてそう言った。……あるんだ。だよね。ふぅーっとため息が出る。 「見た? これ」 「見てないってば。ショック過ぎて」 「ごめん、ショックだろうけど……治らないよ、たぶん。で、見た方がいい」 「え? 治らないの? ……そんな……」 「いつ、気づいたわけ? 」 「……昨日」 「遅ッ! ぼんやりしてんな」  ……ぼんやり? 「とりあえず、見たら? 話はそれから」  そう言って、くいっとサイドミラーを動かした。それに、私の手持ちミラーを合わせて、円形……じゃないのね。  長細い。結構大きい? 細いけど。
/440ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2189人が本棚に入れています
本棚に追加