23.繋げるもの

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「あんまり遅くなると、心配するから」  総ちゃんはそう言って、“腫れ物”の意味も教えて貰えず、そのまま車に乗り込み、先に買い物を済ませた。  ……帰り道の車内…… 「光姉ちゃんって何歳だっけ? 」 「30。この春には31」 「……そっか。俺、今年23」 「え、そっか。いいね、若いね」 「俺と光姉ちゃんって何歳違うんだっけ? 」 「何が? 」 「分かりやすく行こう! 光姉ちゃんと、うちの桃子姉ちゃんは、何歳差? 」 「2個じゃなかった? 」 「うん、そうだった。合ってる」 「……何を……」言っているのだろう。 「誰かいい人いないかねぇ、うちの姉ちゃんにも」 「もう、何の話よ! 」 「……親戚一同に、怒られるのも、光姉ちゃんに怒られるのも嫌だなぁって思って……」 「すっきりしないわね! 」 「すっきりしない。すっきりしない部分、ない? 」 「……今。物凄くすっきりしない」 「今以外! てか、ちょっと自分で考えてみて? 何かあったらまずいし、こっちにいる最終日に、言う。その日、柊晴兄ちゃんとこ、帰るんだろ? 兄ちゃんいたら、心配ないし」 「しばらく、すっきりせずに、もやもやしとけばいいの? 」 「うん、ごめん。引き算でもしてみて」  ……そうして、祖母宅に到着すると、総ちゃんはこの日も山盛りの食事をあっという間に平らげた。
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