23.繋げるもの

10/10
前へ
/440ページ
次へ
 部屋で一人になって考えた。  ……引き算?腫れ物?  結婚を反対された?頼み込んでた?柊晴が?結婚することを?  ……なぜ?  知らない。そんな事。私は全く知らなかった。 『柊晴兄ちゃんとは? どうやって知り合ったの? 』 『ん、友人の紹介』 『……あれ? ふーん……ベタなやつだ』  あれ? 『そう。たぶん。だけどね』  思わずそう言ってしまった。  それは、今となれば春香がどういうつもりか、分からないから、それを自虐的につい言ってしまったのに  それに対して、総ちゃんは疑問を持たず、いえ、総ちゃんの疑問は私の思っているのと違った。 『ああ、そのへんは覚えてないんだ』  そう言った。私は何も知らなかった。だけど、知らなかったのは総ちゃんの言う通り……覚えてないから。  “たぶん”私がそう言った事で総ちゃんは、私は覚えてないことを、知っていると……思ったんだ。それで、私に話してしまった。  これが、当たってるとしたら……私の考えが、当たってるとしたら?
/440ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2189人が本棚に入れています
本棚に追加