24.過去の筆跡

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「暗くなると、いけないから、早めに帰りなさい」  祖母にそう言われ、昼過ぎに祖母の家を出る事にした。最寄り駅までは総ちゃんが送ってくれる事になった。荷物は祖母に悟られないように、新しい住所へ先に送った。そこへ、祖母が沢山の食材を追加してくれた。 「ありがとう、おばあちゃん」 「今度は柊晴さんといらっしゃい」  そう言った祖母に、笑顔で返した。胃痛も、治まり、体重も少し戻った。頭部の脱毛は、治らない。 「光姉ちゃん……」 「総ちゃん、私ね、聞かない事にした」 「……そっか」 「柊晴に、聞く」 「うん、それが一番だね。待ってるよ、あの人。光姉ちゃんの事」  総ちゃんは、私と柊晴との間に何があったのかを感じ取っていたのだと思う。 「うん、そうだね。ありがとうね、総ちゃん」 「あ、うん。東京出たら連絡する! 案内、宜しく~! 」  総ちゃんに、お礼を言って電車に乗った。……ここからは、誰も知らない街。  荷物は明日、届く。新しい家には何もない……何も。
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