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翌朝、寒さで目が覚める。
暖房は強めにしたけれど……暦上は春でも寒い。今日は布団が届く。それに、荷物も。少しずつ、ここでの生活の基盤も出来てくるだろう。
スマホ……は、充電切れてる。充電式のコードを繋いで、しばらく待って電源を入れた
瞬間、着信。切れて、また、着信。こんな、早朝に?何かあったのかと、画面を確認する。
……柊晴だ。
「……はい」
『光! ああ! 今、どこだ!? 』
「……どうしたの? 何かあった? 」
『……いや、無い』
無い?物凄く慌てて、こんな時間に電話してきたのに?
『……どこに、いるんだ? 』
「……言わないわよ」
『……そうか、ああ、えっと……』
「誕生日まで、会わないんじゃなかったの? 」
『……いや、そう……だ。……会って、くれるのか? 』
「少し、整理したいの」
『約束だ、会うって。……でないと……』
「離婚届は、私が持ってるの」
『無駄だね』
「……無駄? 」
『離婚届不受理申出してる。だから、出しても受理されない』
……何の為に?……何の?
それは……“離婚したくない”から、だとしたら?
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