26.未来への約束

10/10
前へ
/440ページ
次へ
 ……元気にやっているだろうか。体調は大丈夫だろうか。  どこで、誰と過ごしているのだろうか。光が出て行って、数日。数分置きに、光の心配をする。そんな自分に……情けなくも自覚する。  ……(あきら)を愛している。俺は、今の光も、愛している。  遠慮なんていらない。言えば良かった。もっと。抱き締めれば良かった。もっと。 『“柊晴が、幸せでいられますように”』  そう願ったと言った光に、俺も…… 『光が、幸せでいられますように』  そう、願えなかった事を恥じた。だけど、そんなのはただの綺麗事で  “ずっとこの幸せが続きますように” そう願って、良かったんだ。そう願えば良かったんだ。  遠慮なんていらなかった。俺達は、夫婦なのだから。約束を守らずに、出すなら出せばいい。離婚届も。逃げたいなら、逃げればいい。何度でも、やり直す。どこへでも追いかける。  何度でも、惚れさせる。もう一度、結婚すればいい。ずっと幸せが続く未来のために、俺はもう、今、したいことをする。  約束の誕生日まで、あと1ヶ月ほど。光は俺より、半年早く……年を取る。  一つ年上になるのが嫌だって言ってたな。だけど、俺には特別な日だ。彼女を祝える、特別な……。大切な大切な日だ。  そして、今年のその日はもっと……“特別な日”にする。
/440ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2189人が本棚に入れています
本棚に追加