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私はこの日、一つ年を取った。この日の約束は二つ。
……私は柊晴を愛している。もう迷いは無かった。今日のこの日に選んだのは、お気に入りのワンピース。
……あの日
『ほら、可愛くなったの見てもらいなよ柊晴さんに。いつまでもケンカしてないでさ』
そう言って春香が選んでくれたものだ。誰かと電話している柊晴にショックを受け……嘘をついた。
『愛していない』と。
私がついたのは、一つの嘘。
柊晴は、一体いくつの嘘をついたのかしら。柊晴にとってそれは、簡単なものではなかっただろう。
想像して、吹き出した。それは……春香にとっても。
あの日、柊晴は電話の相手に
『光が帰って来た、また後で』
って言った。
“光”って言って通じる相手は、そんなに多くはない。
共通の友人。もう一度吹き出した。
……一人しか、いないじゃないの。柊晴が私の事を相談する相手なんて。
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