27.|永遠《エタニティ》

2/10
前へ
/440ページ
次へ
 私はこの日、一つ年を取った。この日の約束は二つ。  ……私は柊晴を愛している。もう迷いは無かった。今日のこの日に選んだのは、お気に入りのワンピース。  ……あの日 『ほら、可愛くなったの見てもらいなよ柊晴さんに。いつまでもケンカしてないでさ』  そう言って春香が選んでくれたものだ。誰かと電話している柊晴にショックを受け……嘘をついた。 『愛していない』と。  私がついたのは、一つの嘘。  柊晴は、一体いくつの嘘をついたのかしら。柊晴にとってそれは、簡単なものではなかっただろう。  想像して、吹き出した。それは……春香にとっても。  あの日、柊晴は電話の相手に 『光が帰って来た、また後で』  って言った。  “光”って言って通じる相手は、そんなに多くはない。  共通の友人。もう一度吹き出した。  ……一人しか、いないじゃないの。柊晴が私の事を相談する相手なんて。
/440ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2189人が本棚に入れています
本棚に追加