27.|永遠《エタニティ》

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「……お腹すいた」  ついに私がそう言うと 「あ! 」  柊晴が声をあげた。 「ヤバい、ちょ、急げ、光! 」  私達は結局、玄関で過ごし、また外へと出た。 「ここで待って……あ、駄目だ。一緒に来て、車まで」  そう言って柊晴の内側に入れられ、車の所まで手を繋いで向かった。助手席に乗り込むと穏やかに車は動き出した。 「うわぁ、ちょっと遅刻」  到着した、店へ入った。コース料理だ。 「車で来たから飲めないけど……ついでに、ど平日だしな」 「いいわよ、飲みたくなったら、家で飲み直し……ねぇ、今日は泊まってもいいの……? 」 「光の家、だ」 「……そうね」 「ベッド、一緒ね」  そう言って、柊晴は顔をくしゃくしゃにして、嬉しそうに笑った。 「光、誕生日おめでとう」 「……ありがとう」 「何、その複雑な顔。あ、そっか。俺より年上……」  柊晴の言葉にわざとらしくため息をついた。 「あーぁ、1年、損した気分。32歳になったの? 私」 「んー……戻るか? 4年前に」 柊晴は、何かを含ませる様に笑った。 「……結局、戻ったフリでしょ!? 」  そう言って、柊晴の髪に触れて、そっと後ろへ流した。 「……まだ、27に見えるか? 」  そう言って嬉しそうに笑った。 「私も27に……」 「戻っても、未来へ行っても、たぶん俺がいる」 「……そう、でしょうね。……今も」 「さっさと食って帰りてぇ」 「あのねぇ」 「明日、有給とろっかな」 「明日は木曜日でしょ? あなたの担当は水曜日と土曜日だけ」 「光……」  拗ねたような柊晴の顔に 「大人な男性がいいな」  とだけ言うと……腑に落ちない顔をして、柊晴は静かに食事を楽しんだ。
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