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再びマンションへと戻った。
「これは、光の」
そこに置いてた鍵を柊晴が再び私に持たせた。
「今度は玄関から……中に入ってもいい? 」
そう聞くと、柊晴がばつの悪そうな顔をして、それから……
「いいけど……その前に」
棚に片方の腕を預け……もう片方の腕を私の背中へと回した。
「もう、遠慮はしない」
柊晴がそう言った。
「私も」
「もう、嘘はつかない」
「私も」
そう言った私に微笑んで、口づけようと近づく柊晴を止めた。
「その件については、明日、問い詰めるからね」
「俺も」
柊晴もそう言った。
「……だから、今は……」
そう言って、合わされた唇は、触れるだけ。
それから……熱っぽい目で私を捉えると想いをぶつけるように、唇が合わせられた。
深く……重く……次第にお互いの境界線がなくなるほどに。
玄関先の触れるだけのキスも、喫茶店での自分を見失うようなキスも……全部が、ここにあった。そんなキスだった。
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