27.|永遠《エタニティ》

9/10
前へ
/440ページ
次へ
 柊晴の鼓動が背中から伝わる。柊晴が自分の左の手の平に、私の左手を乗せた。  薬指に冷たい感触が通っていく。それは、誰かへの“永遠の誓い”そう思っていた指輪(リング)。 「つけて、くれなかったんだよな、あんまり」 「それはそうよ、失くしたりしたら……」 「うん」 「……綺麗……」  私の薬指にぴったりとはまる。私の、サイズに作られたものだ。 「うん」 「何て言ったの? 」 「指輪(これ)、渡した時? 」 「うん」  本当は、覚えていたかった。せめて感情だけでも……今味わえたら。 「光、“エタニティ”の意味を知ってるか? 」 「え、永遠……でしょ? 」 「うん。“永遠”の意味は? 」 「これから先も……ずっと? 」 「うん」  柊晴が再び、自分の左の手の平に、私の左手を乗せた。
/440ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2189人が本棚に入れています
本棚に追加