28.再築

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 生理が来て、こんなに嬉しいなんて。戻った。何もかも。まるで、柊晴のところにいるのが“正しいこと”だと、身体が教えてくれているみたいだ。 「大丈夫か? 」  心配そうに言って、私に腕を伸ばす柊晴に 「……生理が来た」  と伝えた。 ……あ、デキなくなっちゃったけど。 「うん……良かった」  そう言った柊晴は、また涙目だった。 「……デキないけど」 「触っとく。この前まで、週1でしか触れなかったし。むしろ、今は天国」  そう言った、柊晴のサイドの髪をふわりと撫でる。柊晴がその手に自分の手を重ね、嬉しそうに笑った。 「次は短髪にしようかな」なんて、言いながら。 「あ、日記、読む? 」そう聞いたら 「1冊、くれない? 」  柊晴は、そう言って、やっぱりあの日と同じ手帳を手に持った。 「……戻ってほしい? 」 「いや、別に、どっちでもいい。忘れんぼなとこも、好きだし」  スンと鳴らした鼻に 「私も、泣き虫なところも、好きよ」  そう言うと、睨まれた。
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