29.次の約束

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「あれ、でも全部がシナリオ通りって訳じゃないのね」  私がそう言うと、春香が不思議そうな顔をした。  少し、足りない。回数が……不思議に思ってると 「光、そのワンピース、やっぱり可愛いね、よく似合ってる」そう言ってくれた。 「ああ、本当、俺もずっと思ってた。あの時も着てたな」 「……あの時? 」 「あ、光は覚えてない、か。……4年前……」 「柊晴くん、このワンピース、買ったの数ヶ月前だよ」  柊晴が、バッと私の方を向いた。 「うん、再建を図る……少し前」 「……う、嘘だろ? 確かに、それ着てた。ワンピースなんて、光……」  三人で顔を見合せた後、同時に京也くんの顔を見た。 「それがね、時々……こんなお客様がいらっしゃるんですよ」  京也くんが、ふっ、と微笑んでそう言った。 「え、え、え? どう言うこと!? 」  春香がキョロキョロしている。恐らく意味が分かっていない。 「京也! 一体何がどうなってんだよ!? 」 「一体何が? より、何の為にか考えた方が楽しくないな? 俺は嫌いじゃないな、こういうの」  京也くんの言葉に、柊晴と二人で顔を見合せた。 「……そうだな」  柊晴が、ふっ、と笑った。 「え、何ー? 何の話ー!?」  春香だけが忙しく、目をキョロキョロと、動かした。
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