29.次の約束

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「言ってくれなきゃ、分からないじゃない! 」春香がそう言うと、京也くんが、ムッとしたように口を開く。 「俺が店の時、柊晴が家にいんの、おかしいだろ。分かってるけど……分かってるけど……家で二人の時にシャワー浴びてんのとか! いい気は……しねぇ……し……」  穏やかな京也くんの、乱れた言葉遣い。語尾は随分と小さくなった。 「あー……悪い、京也。それは、そうだな。でもな、シャワー浴びてないわ。洗面所で頭洗ってただけ」  柊晴がそう言うと、今度は京也くんが赤くなった。 「……後は、二人で、やれ」  柊晴が笑ってそう言った。 「それとも、10分、目ぇ瞑っといてやろうか? 」 「柊晴! お前っ! 」  春香がそのやり取りを、物凄く嬉しそうに見ていた。それから 「あ、ねぇねぇ、今からつくれば、同級生間に合うよ! 」  なんて、言うものだから、私も赤くなった。 「マジ!? いいな、それ! 」  食い付いたのは、私の夫。 「楽しそうだな」  京也くんまで、そう言った。 「効果テキメンだったよ! 伊勢神宮の子安神社」  別行動の後に、参拝したのか、子供、欲しがってたもんな。 「行こうか、光! もう一度! 」  柊晴の言葉に 「え、今は伊勢海老解禁じゃないでしょ? 」  そう返すと 「そうだった。そうだった。光って……こんな子だった」  春香が呆れたようにそう言った。 「私が食べ物の話したら、笑ったくせにぃ」  そう言ってからかう。 「本当、変なとこでクール」  柊晴がそう言って 「だけど、そんなところも……」  そう付け加えると 「……後は、二人で、やれ」  今度は京也くんが、そう言った。
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