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「あはは! 柊晴くん、急に光の腕を掴んで固まったのよ。再現は、少しマシにしたけど、ねぇ、京也くん」
「ああ、その腕、無理矢理剥がした。何も言えないで俯いてるもんだから、必死で光ちゃんに言い訳したよ、俺が」
「春香だって、初めて京也に、会った時! 」
3人でお互いに覚えている事を言い合ってる姿に笑う。
同級生って……いいな。覚えてくれてるって……いいな。ふと、自分がそこにいたような感覚になる。それは、無くなった記憶なのか、想像なのか分からないけれど……今となっては、どちらでもいい。
「ねぇ、京也くん」
一つ気になった事があった。
「わざと、言った? ……あの時。一度だけ私の事……“光ちゃん”って呼んだよね」
「うん、気づけばいいなって、思った。過去に留まらずに……どのみち、帰る場所は、一つだって」
「……そうだね。ありがとう」
私がそう言うと、いつもの穏やかな顔で京也くんが微笑んだ。
春香と京也くんも、私と柊晴もまだまだ手探りの夫婦だけど、大丈夫、先は……長い。そう思うと、未来はますます、楽しみだった。
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