29.次の約束

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 あれから  毎日の様に定時に帰っていた柊晴が、その日は「今日は夕食食べてくる」そう言った。 「……分かった」 「佐田が、晩飯連れてけってうるさくて。勿論、何もない。構わないか? 」 「……ええ、勿論。……私も……今日は、いい? 」  私もそう言うと、少し複雑そうな顔をして 「彼女と二人で会うのは、最後にする。……だから、光も……」 「……うん、そうする」  私がそう言うと、一度ぎゅっと抱き締めて 「ああ、仕事行きたくねー」  いつもの様にそう言った。玄関先で、到底朝からするようなものでないキスをして“行きたくない”って顔で表現して、ようやく玄関のドアを開けた。 「……あまり遅くならないように。それから……鍵は持って、あ……伊東に宜しく」 「ええ、柊晴も佐田さんに宜しく」  バタンとドアをもう一度閉めると、軽いキスをして、小さなため息をついた。 「はいはい、行って」  そう言うと、渋々もう一度ドアを開けて、出掛けて行った。
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