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あれから
毎日の様に定時に帰っていた柊晴が、その日は「今日は夕食食べてくる」そう言った。
「……分かった」
「佐田が、晩飯連れてけってうるさくて。勿論、何もない。構わないか? 」
「……ええ、勿論。……私も……今日は、いい? 」
私もそう言うと、少し複雑そうな顔をして
「彼女と二人で会うのは、最後にする。……だから、光も……」
「……うん、そうする」
私がそう言うと、一度ぎゅっと抱き締めて
「ああ、仕事行きたくねー」
いつもの様にそう言った。玄関先で、到底朝からするようなものでないキスをして“行きたくない”って顔で表現して、ようやく玄関のドアを開けた。
「……あまり遅くならないように。それから……鍵は持って、あ……伊東に宜しく」
「ええ、柊晴も佐田さんに宜しく」
バタンとドアをもう一度閉めると、軽いキスをして、小さなため息をついた。
「はいはい、行って」
そう言うと、渋々もう一度ドアを開けて、出掛けて行った。
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