30.再建

5/10
前へ
/440ページ
次へ
「私も……好き」自然にそう言えた。 「はは! 嬉しー! 」  そう言って子供みたいに抱きついてくる柊晴に懐かしさを感じる。その懐かしさはいつのものか。水曜日の喫茶店か、それとも4年前か。  それとも……分かるのは、ただ一つ。それはもういつでも構わないって事。  懐かしく思う気持ち、それに……こんなにも愛しい今。何もかも忘れて、今、キスに夢中になれる、この気持ちだった。 「キスしてるのに、キスしたい。全然足りない」  まだ熱っぽい目で私を見つめて、柊晴が言った。 「分かる、私もよく食べてるのに、お腹空いたりする」  物凄く共感したというのに、柊晴は……冗談ぽくも苛立った様な目を向け 執拗にキスをする。 「ちょっと、キスだけで1日が過ぎるわよ? 」 「構わないさ、1日くらい」  空白を埋めるように、何度も何度も繰り返される。その心地よさに、いつしか私も身を委ねた。
/440ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2189人が本棚に入れています
本棚に追加