30.再建

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 柊晴の指先辺りには、あの傷がある。 「髪の毛で上手く隠れてるのかしら」 「なぁに、目立たないよ。……気になるなら俺がずっとこうしてような」  そう言って私の背後に寄り添う。 「歩きにくいわよ、柊晴」 「ん、いいだろ……もう少し、ここで」 「ありがとう、柊晴。あなたがいて……良かった」 「ああ、本当、俺も……そう思うんだ。だけど……そうだな、こんな未来があるなら……もっと早く……」  ほんの少しの時間、柊晴は過去に意識を飛ばし…… 「いいか、もう」  そう言って笑った。 「喉渇いたな、飲み物買うか」  自動販売機を見つけた柊晴が 「そこで、待ってて……」  そう言って静止する、数秒。 「……やっぱり一緒に」  私を自分の前に歩かせると、ドリンクのボタンを押した。 「わ、良く冷えてる。頭痛くなっちゃうね」  頭痛くなるというのは、冷た過ぎる事が言いたくて。なのに、心配そうに覗き込む柊晴に……どれ程の心配をかけてきたか。
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