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必ず待ち合わせには先に到着していたことも、歩く時は自分の前か内側を歩かせる事も
体調が悪い日には『頭は痛くないか?』そう聞いたことも、絶対に受けさせられる健康診断には、脳ドッグが含まれていたことも。全部、あの日に繋がっている。
私が、柊晴の目の前で倒れたあの日に。
「ねぇ、柊晴。前から車が来たらどうするの? 」
私を前を歩かせる柊晴にそう聞いた。ちょっと、からかうつもりくらいで。
「……前に立ちはだかってくれる? 」
「いや、二人で避ける。……光にあの思いをさせたくはないんだ」
……そうだ、私より何倍も柊晴の方が辛かった。冗談で言うべきことじゃなかった。
ずっと見守ってくれてた。ずっと……。
「いいんだ」
柊晴は空を見上げてそう呟いた。
「いいんだ」
もう一度そう言って、私を見つめると、子供のような笑顔を向けた。
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