31.光

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 あれからどうなったのかは知らなかったが、次に京也の店に行くと 「付き合う事になった」  京也がそう言った。 「はは、そっか。いいんじゃねーか、明るくて良い子だろ? 」 「……まあ……な。そのうち向こうから離れるだろ」  この時の京也の言葉にひっかかったものの、春香が京也から離れる事は無かった。  京也の性格からして、春香の粘り勝ちってとこか。  ……奥の席に座っていた女性がカウンターにコーヒーを取りに来て、京也と一言二言話すと、トレーを持って席へ戻った。コーヒーの邪魔をしない程度にふわりと彼女の香りが残る。 「……若い女性も来るんだな」  京也の店は古くからの常連客が多く、年齢層も高い。 「ああ、あの子は春香の友達だよ。春香とここで待ち合わせしてるんだ。……もう来るかな」  京也が時計に目をやるのと同時に  ……カラン  ドアベルの音とともに春香がここに入ってきた。京也ににっこり笑って、その前にいる俺に気づくと歩み寄って来た。 「柊晴くんも来てたの」 「ああ、京也から聞いたけど? 」  からかうようにそう言うと、真っ赤になって 「あ、ありがとう……ここに連れてきてくれたおかげで……あ、今日は友達と待ち合わせで」 「うん、もう来てるよ(あきら)ちゃん」 「あ、本当だ。行くね、ありがとう柊晴くん」  春香はそう言うと先程の女性の座る奥の席へと向かった。  あきら……へえ、女の子にしては珍しい名前だな、ぼんやりそう思っていた。
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