32.ドアの外

4/10
前へ
/440ページ
次へ
「じゃあ、連絡先を……」  光はその日、連絡先を交換して、帰るつもりだったらしい。ドアの外で見た光の姿に、懇願するような告白をした。  恐らく、さっきの木のドアより重いんじゃないかと思うほど……不器用で上手く行かないそんな告白だった。緊張と、恐怖、それに……涙まで出てきそうになって俯いた。俯いたところで身長差があるのだから、見上げられたら、顔が見えてしまう。  きょと、とした光が…… 「女性と付き合うの……初めて……では、ないわよね? 」  そう言った。そう思われても仕方がない、そんな態度だった。 「……ここまで好きになった人が初めてなんだ」 「……えぇ? モテたでしょう? 」  ……軽いと思われたくはなかった。重いと取られかねない告白をしても尚、こう言った光に。 「そんな風に思わないで。確かに……そんな出会いだけど。大事にしたい。知って欲しい。もっと……俺を」
/440ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2189人が本棚に入れています
本棚に追加