32.ドアの外

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 何があっても守りたい。心からそう思っていた。何があっても、傍に。手に入れば、浮かれていられるわけでもなかった。むしろ……不安は募るばかり。 分かっていても、努力で何とかなるものではなかった。温度差は埋まらないまま……流石に不安を本人にぶつけないくらいの正常な判断は出来た。まぁ、嫌われたくなくて、だけど。  不安をぶつける場所は決まっていた。  そこへ行くと必ずと言っていいほど、春香もいた。京也は休みなくほぼ店にいる。だから、京也に会いに来ているのだろう。  カウンターに行儀悪く頬杖ついてる俺に 「あの子、柊晴くんに夢中だよ」  春香がそう教えてくれた。 「全然(ぜんっぜん)違う! 今までと。表情とか、目とか、もう明らかに! 恋してるよ。いやー、変わるもんだわ」 「……彼女が?  俺に? 」 「うん。夢中」  嬉しさと信じられなさで、緩む顔を隠す事なく 「マジで!! 」  声を上げて喜んだ。 「うるせぇ、お前。本当、この店に不向きだわ、帰れ、帰れ」  そう言った京也の目が優しい。さっさと、光の所へ行けって、言ってる。  今日はもう会ったというのに、結局また会いたくなって、光の家へと向かった。 「……どうしたの? 」  そう言って、迎え入れてくれる光に 「会いたくなった」そう伝えた。 「さっきまで会ってたのに」 「うん、でも、会いたかった」 「変な柊晴」そう言って笑う。 「とっくに変なんだ……」  それは、光に出会ったあの日から。
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