33.白いページ

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 その中に、俺も含まれていた。それから、京也も。  結婚まで決めたのに、俺達の関係は随分と容易く無かった事になった。  付き合いが浅い。そう言われればそうで、俺達には1年足らずの共有した過去があるだけだ。光と産まれた時からの付き合いの春香は光に寄り添った。光の両親からの人望も厚い。  光に取っての俺は……あっという間に、部外者で、他人になった。せめて、これが“夫婦”になった後だったら。そう思った。 「もうしばらく、様子を見ましょう」  春香が俺の肩を叩いてそう言った。  そうだ、光は無事だった。頭に少しの傷が出来ただけ。問題ない。少し、忘れただけ。  良かった。無事で。良かった。
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