34.誓い

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 ──翌日、目が覚めると見慣れない天井だった。  ゆっくりと首を動かす。繋がった管は……俺の腕。点滴? 「あ、起きたか」 「お前……何してんだ、店は? 」  横に座る京也にそう声を掛けた。 「夕方には開ける。『何してんだ』は俺のセリフだ! お前、何も食べてないだろ」 「……どうだろう」 「食べてないから、こうなったんだろ! 親御さんに連絡……」 「いや、待ってくれ、大丈夫だ」 「大丈夫じゃないだろ! どんな顔してんのか、分かってんのか、お前! 」 「本当、死んでるのかと思ったわよ? 」  腕を組んで俺を見下ろす春香は、笑ってそう言った。いるわけない。分かっているのに、つい病室を見回して、光を探した。  春香がふぅっとため息を吐く。 「光って凄いわよね、柊晴くんをこんなにしちゃうんだもの」 「大丈夫なのか? 光は」 「ええ、すっかり。ちょっと会社をどうするかが、問題くらいで。事情を説明して……出来れば続けさせてあげたい」 「そうか、俺もついて行こうか」  そう言って立ち上がろうとする俺を二人が止める。 「お前に出来る事はないんだよ、柊晴」  諭すように京也がそう言った。 「今はお前もゆっくり休め」
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