34.誓い

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「そうよ、早く元気になって、早く光を幸せにしてやって? 」  ニッと笑って春香がそう言った。 「……春香? 」  京也も不思議そうに春香を見上げた。 「思い出す事が無理なら、もう一度出会えばいいのよ」  ポカンとする俺達に 「光は今、彼氏も好きな人もいないのよ? 」 「やり直すって、ことか。出会いから」  京也が頷いた。  俺はまだよく、分かっていなかった。そんな俺に春香が言ってくれた。 「大丈夫! あの子、柊晴くんに夢中だったんだから! 」  春香の強い目に涙が溜まる。 「……だって、こんな終り方、ひどいじゃない。光、あんなに幸せそうにしてたのに。柊晴くんだって、こんなになるまで……光の事が好きなのに」 「終わらせない」  今度は俺が、二人に強い目を向けた。ありったけの決心を、込めて。 「俺は……光を諦めない」
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