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「しばらく、うちに来い」
そう言った京也に断りを入れて、一人の家へと戻った。仄かに香る光の残した永遠香り。直ぐに消えてしまうだろう。
乱雑な部屋。持ち上げた、脱いだままのズボンのポケットからコトリと小さな音を立てて落ちた。あの日、光の指にはめられていた指輪。
俺の指には到底入らない、小さな円周。手のひらに乗せてぎゅっと握りしめた。
俺がしっかりしなくてどうすんだ。嬉しそうにこれをはめた光を忘れたくない。大事にしてやりたい、あの時の光の気持ちを。強い決心。もう一度、この指輪を光の指に。
諦めない。一緒に過ごした1年も。これから……未来も。
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