35.計画

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「会社である以上は、感情論や情ではどうにもなりませんね」 「出来れば、以前のまま働かせてやりたい」 「……うーん……作業自体はね、システムの変更もないはずだ。あ、僕、会社には居ましたからね。面識はここ最近だから。元々、フレックスだし、時短とかフリーランスに毛生えたような社員もいる。何とかなりそうだけど……」  彼の言葉にパッと顔を上げた。 「事前に社員には説明しときます。差し障りない範囲で。でも、面白がる奴も出てくるかもしれない。正社員から契約に変えるのはどうでしょう。これなら文句も出ないだろうし。結婚されるなら、彼女にも上手く言えるでしょ? 」  ……結婚……出来るなら。 「ええ、助かります。ありがとうございます」 「これ、僕の連絡先です。何かあれば、直ぐに連絡します」  彼の存在は本当に有り難かった。光の今まで通りの生活は、彼がいなければ成し得なかった。  ただ、一つの問題が無ければ。握る左手に力が入った。
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