35.計画

5/10
前へ
/440ページ
次へ
 俺は、光を取り巻く人達も好きだった。  誰もが祝福してくれたのは、ほんの少し前の事。その祝福を無いものにしたくは無かった。光が紹介してくれた、父方の祖母、母方の祖父母、どちらにも頭を下げに行った。  どうか、結婚させて欲しいと。心配させたくなかった。  だけど本当は……そうしないと不安だったのかもしれない。周りを味方につけたかったのかもしれない。  光の両親の反対から。伊東の光への気持ちに気づいたから。俺は……ずるかった。光の為じゃなかった。俺の為だった。 『どうして、ここまで? 』  そう言われた。  俺が、光と居たい。その一心だった。 『光は幸せね』って……そう言われた。 『こんなに想われて』 『夫婦生活って良いときも悪い時も、それはもうほんっとうに色々あるのよ。一人の気持ちだけじゃだめ。自分の事も、相手の為に大切にするのよ。今度は光と一緒にいらっしゃい』  そう言った光の祖母の言葉に頷いた。  幸せだった。光に想われて。  光の気持ちはどこへ行ったんだ?俺一人じゃ……駄目だというのに。
/440ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2187人が本棚に入れています
本棚に追加