37.結婚生活

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 今となってはこっちが本当の俺なのかもしれない。  使い分けるわけでも、意識するわけでもなくこれが、俺なのかもしれない。“穏やか”だとか“落ち着いてる”だなんて言われる俺が。 「お前はいつまでそんな感じなんだ? 」 「何が」  京也にはそう言われた。 「気持ち(わり)ぃ」 「年とったんだよ。30過ぎたからな」 「もう、いいだろ? いつまでそんな気を使ってるんだ」 「そんなつもりは、ない。今はこんな性格だ」  京也は静かに首を横に振った。分からなくなっていた。身も心もバグを起こすほどに好きだった。嬉しさを押さえきれずにはしゃいだ。そんな日々を覚えている。むしろ、あれが……バグだったんだ。  目の前には、変わらずに光がいる。  “妻”になった光が。幸せな日々が穏やかに過ぎていく。
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