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今となってはこっちが本当の俺なのかもしれない。
使い分けるわけでも、意識するわけでもなくこれが、俺なのかもしれない。“穏やか”だとか“落ち着いてる”だなんて言われる俺が。
「お前はいつまでそんな感じなんだ? 」
「何が」
京也にはそう言われた。
「気持ち悪ぃ」
「年とったんだよ。30過ぎたからな」
「もう、いいだろ? いつまでそんな気を使ってるんだ」
「そんなつもりは、ない。今はこんな性格だ」
京也は静かに首を横に振った。分からなくなっていた。身も心もバグを起こすほどに好きだった。嬉しさを押さえきれずにはしゃいだ。そんな日々を覚えている。むしろ、あれが……バグだったんだ。
目の前には、変わらずに光がいる。
“妻”になった光が。幸せな日々が穏やかに過ぎていく。
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