37.結婚生活

8/10
前へ
/440ページ
次へ
 光が無くしたのは一年足らずの記憶。俺が無くしたのは……。  やりきってみせる。光を手に入れる為に。光が好きになってくれるような男になる。  それは、いつまで?いつまで続くのだろうか。以前の俺なら好きになって貰えなかったのか。それとも……今更振られるのか。俺は自分の在り方を無くしたのかもしれない。  記憶が戻れば、この俺の存在意義が今度は無くなるのだろうか。記憶を失うまでの光を愛していた。  記憶を失ってからの光は……光である以上は愛している。光もきっと同じように思ってくれていると思う。思い出さなかったとしても。  やがて月日が大したことないと思わせてくれる。そろそろ、家族が増えてもいいのかもしれない。そう思った矢先だった。
/440ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2187人が本棚に入れています
本棚に追加