37.結婚生活

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『うつるといけないから』  風邪もひいていないのに、光はそう言った。  いつの間にか、隣の部屋に小さなベッドが運び込まれていた。笑わなくなっただけでなく、俺を避ける様になった。何度となく、その訳を光に尋ねた。俺は、上手くやっていた。 『最初から、有ったのかも分からない』  俺への気持ちが、最初から無かったというのだろうか。それでも構わない。別れない。何があっても。何があっても、側にいたい。  もし、失った過去を思い出したら、その瞬間に、俺は隣に居たいんだ。 『ねぇ、柊晴、4年前に戻れたらいいのにね』光はそう言った。戻りたい……戻れるものなら。愛してくれていた頃に。
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