38.土曜日の約束

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 翌日になって何時間も話し合った。 「絶対に別れない」  俺はそれだけだった。 「勝手に出て行く事も出来る」  そう言った光に 「俺は光なしで、生きていけない。それでもそうするなら」  卑怯でも、そう言った。情くらいはあるだろうから。 「チャンスが欲しい」  土曜日だけ自分と過ごして欲しいと。丸1日。 「それ以外は好きにしてくれたらいい。ただ、勝手に出ていくのだけは……」  光は渋々頷き、俺達は再建をはかることにした。本当の再建だった。……いや、再建ではなく、新たに築くのかもしれない。  土曜日以外は、話さない。目も合わない。触れる、事も。だけど、土曜日を選んだのは、一番時間が取れるからだ。卑怯だと言われようが、光といたい。
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