39.夫婦

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「そんな風に思わないで。確かにそんな出会いだけど。大事にしたい。知って欲しい。もっと……俺を」  戸惑う光に 「次、次会うまでは何も聞かないから。ね? お願い……します」  光が頷くと…… 「すげぇ、楽しみ。来週」  意識するわけでもないのに、俺も4年前に戻った様だった。覚えてるわけでもないのに、光も同じセリフを返してくれる。 「ねぇ、落ち着いてよ、柊晴」  それが嬉しくて嬉しくて……久しぶりに心から笑った。 「いいな、それ。はは! 嬉しい。もっかい呼んで? 」  光の両手をとって、ブンブン振った。俺が触れると嬉しそうにする光に我慢など出来なかった。 「柊晴」 「……ヤバい」 「え? 」 「もう、無理。俺」  じっと見つめると 「好き、だ」  そう言った。言い過ぎて怒られた、その言葉を。 「……私も」  光の言葉は心からのもの。気づけば、この甘い関係に抜けられなくなったのは……俺だ。俺に自ら手を伸ばすような光に止められなくなった。
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