2187人が本棚に入れています
本棚に追加
────
──────
「光、実家には日常を装っての連絡はしてるみたい。光の両親に心配かけるから、私からは何も言わなかった」
京也の喫茶店、春香がそう言った。光は祖母宅を出て……どこかへ行った。
気持ちを整理するためだろう。いつもは明るい春香もここしばらくは塞ぎこんでいた。そんな春香の肩を京也が慰める。
「私に何も言ってくれ無かった。行かせた柊晴くんも理解出来ない」
春香に何度もそう言われた。
「……ごめん、だけど離れた今なら、やっと分かった気がしてるんだ。吹っ切れた気がする」
「一体何年見失ってんだ、お前」
そう言った京也に笑顔を向けた。
「3年? 」
「……4年じゃない? 光に出会った時からおかしいし」
春香もそう言って笑った。
「光に会いたい」
そう言った俺に
「私も」
春香もそう言って笑った。
こうなって、やっと、俺は自分に向き合えた。ずっとずっと押し殺して来た自分に。
「全部、話すつもりだ。忘れた事も、ここでの事も……」
「ああ」
「大丈夫、何が起こっても」
「ああ、全部受け止める」
そう言って、二人にもう一度笑顔を向けた。
最初のコメントを投稿しよう!