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『私はあなたの事を愛する。今じゃなく、先…未来で。だけどね、あなたが私を愛さなくなるの』
『間違わないで。もう、二度と。あなたの私への気持ちは、きっと愛ではないと思う。もう出会ってるはずよ、それに、気づけば』
……喫茶店で光が言った言葉を理解出来なかった。
『本当に出張に行ってる日を、教えて欲しいんですって』
『誰が信じると思います? 関係ない私だって信じないかな』
佐田からそう聞いた事でその意味を理解した。光は俺が他の女性を、心変わりしたと思っていたことを。だから、逃げるように俺の前から去ろうとした。俺が……情だけで光といるのだと思ったから。再建は、もう一度光を好きになろうと努力しているとでも思ったのだろうか。
『幸せに、なって』
離婚を決めた伊勢神宮で、光は俺にそう言った。
光が望んだのは、俺の幸せ。俺が望んだのは、光の幸せ。
俺の幸せは光にしかない。だから、その約束は守る事が出来る。
『私はあなたの事を愛する。今じゃなく、先……未来で』
未来とは……今だ。光は……俺を……愛している。光の幸せは俺だ。
“こんなに好きになれる人に出会えた事に感謝。ずっとこの幸せが続きますように。”
たった2行の光の日記。人の気持ちは……変わらない。変わったのは……信じきれなかったからだ。
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