42.永遠の誓い

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 光は、あの1年を思い出す事はなかった。  だけど、同じ様に。いや、それ以上に俺を愛してくれた。  夫婦再建は成功した。元より、夫婦になれていなかったのかもしれない。装った関係など。  向き合って食事をする。特別ではない、毎日の食事だ。横に座ってテレビを見る。大して内容のない会話を交わしては笑う。  嘘のない毎日。光の体調も戻り、痩せて一回り小さくなった体に柔らかさが出てきた。  本を読みに行こうかな……なんて、京也の所へ向かう時は一緒に。だけどそうすると、光を春香に取られるもんで俺は仕方なく京也の前に座る。  茶碗山盛りの白米と豊富な惣菜を総一朗と競って食べに行ったりもする。光の運転は嫌だから、外では酒が飲めない。その分、家で飲む。そのままソファで寝てしまって怒られる幸せ。  夏期休暇の予定は……今年は沖縄なんてどうだろう。まだ光には言ってないけど……色々とリサーチ済み。 「もう、ちょっと 落ち着いて! 」  などと、言われるのは分かっている。落ち着く気など更々ない。嬉しいんだから、仕方がない。こんな俺を……光は、好きになったのだから。だけど、……いくつになっても好きな女の前ではカッコつけたいもんだ。  その為に少しは“落ち着いた男”になろうかな。とは、思っている。きっと……光にはバレているだろうけど。
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