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「光! 何で結婚指輪しかしてないんだよ! 」
「いや、家事には向かないし……指輪に傷が出来ちゃうでしょ? もったいない」
「傷だって、過ごした年月の証拠だろ? 味わいだ! 」
柊晴はそう言うと、ハッとして私の後頭部を撫でた。そこには傷がある。
「……傷だって生きてる証拠。味わい、味わい。可愛い、可愛い。俺のだって証拠」
なぜか嬉しそうに笑ってる。これのどこが“俺の”の証拠になるのか?
「あ! そんな話じゃない! 指輪!! 」
私を撫でた手を離すとスタスタと部屋へと行って引き出しからエタニティリングを持ってくると私の指にはめた。
「……傷ならともかく、失くしちゃったらどうしよう」
「はは! いくらでも買ってやる! 何回でも! 」
それからまたハッとして
「……ちゃんと、残業するから大丈夫だ」
ばつが悪そうにそう言った。
「ほら、やっぱり仕事せずに定時に帰ってるんじゃないでしょうね? 」
「出来る男は時短」
「柊晴……」
「大丈夫だって! 」
私が怒ってるのに嬉しそうな柊晴にこちらもおかしくなって、笑った。
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