43.未来へ

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 いつもより違和感のある薬指に何度も目をやって微笑んだ。 「あ! 」 「何だよ」  エンゲージリングに添えられたカードを思い出して、あの引き出しへと急いだ。  カードには大文字の筆記体“A”ああ、これが“H”に見えたのか。確かめる勇気も無かった。バカだな、本当。あの時、この婚姻届とカードを見ていたら……。  背中に暖かい体温を感じた。包み込むように私を抱きしめる柊晴が 「何? そっちのリングもつけてくれるのか? 」  ……そう言った。  振り向いてキスをする。 「今日、会社休もうか? 」  なんて言う彼が、とても愛しい。勿論 「ダーメ」  って言うし、彼もそれを分かって言うのだけれど。疑ったのが馬鹿らしくなるくらい。  柊晴は…… 「ああ、もう、めっちゃ好き。好き、好き、好き、だぁー! 」  そう連呼している。  だけど、たまにとても大人っぽく……と言っても大人なのだけど……静かに微笑む。そんな柊晴にも……今は……懐かしいと思う。
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