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「だいたい柊晴がこんなに格好良くなかったら、疑わなかったのに。1年もつまらない時間過ごしちゃった」
「疑う? 春香のか? 」
「結婚までスムーズ過ぎた」
「式場予約してましたので、巻きで行きました」
「上手く行きすぎた! 」
「はは! 1年拗れたんだから、もういいだろ? 」
「……そもそもこんな素敵な人が私を好きになる? とか思って……」
バカらしくなって俯く。柊晴が私の肩を寄せて
「何て? 俺……」
「柊晴は格好いい」
「……そうか? 光の前だと格好悪いぞ? 」
「……本当だ」
柊晴は片まゆを少し上げたけれど……。
「でも、それでシートマスクしてるのか」
「そう、若返り。そして綺麗になりたい。柊晴と……釣り合……」
そこからはシートマスクを半分捲って続きは言わせて貰えなかった。冷たいシートの代わりに柊晴の暖かい唇が触れる。
「うぇー、まっず! 」
「うん、美容液1本分だからね」
「……こんなのは、俺が出張中にでもしてくれよ」
「出張なんて、滅多にないじゃない」
そう言う私に、柊晴は気まずそうに、笑った。
「外していい? 」
「もう半分外してるでしょ? 」
「じゃなくて、こっち」
スルリと私の背中から手を入れた柊晴が、ゆっくりと私をソファに倒した。
「今出来たら同級生か……」
なんて、一人言を言いながら。……それにしても柊晴は、色々と下手くそだった。絶対に浮気出来ないタイプね。
……絶対に、浮気なんてしない……タイプね。微笑む柊晴に、私も顔が緩んだ。
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