43.未来へ

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「今年は盆休み、分けて取ろうかと思う」  ある日、改まって柊晴がそう言った。 「ああ、そうなの? 」 「盆は実家とか顔出すだろ? その次の週くらいに……行かないか? 」  そう言うとタブレットで青い海を私に見せた。 「暑い時に沖縄は熱い!! 」 「そう言えば行った事ない」  私がそう言うと、そうだろうと言わんばかりに柊晴が嬉しそうに笑う。 「マリンスポーツは得意じゃないのよねぇ」 「ああ、ウィンタースポーツもな」  なんて、わくわくを全身に出して、次々と画面を変える。 「……綺麗ね」 「だろ? 」  多分……また泣かせてしまうだろうと思うけれど、伝えなければいけなかった。 「ごめんね、柊晴……旅行には行けないかもしれない。特にマリンスポーツは……」 「あ、大丈夫だ、観光だけでも楽しめるし……沖縄じゃなくても……」 「そうね、沖縄は歩けるようになってからの方が良いかもしれない」 「……歩く? ……光? 体調が……」  柊晴の顔がみるみる強ばり、険しくなった。 「ええ、昨日病院に行って……」 「……何て言われたんだ? 」 「『おめでとうございます』」  そう言って、お腹に柊晴の手を置いた。 「……泣くと思った」  柊晴の顔を見て、笑ってそう言った。
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