エピローグ

1/7
前へ
/440ページ
次へ

エピローグ

 柊晴は、私が運ばれた時の記憶がないらしい。それほどショックだったということだ。  春香が 「教えてあげるわよ」そう言うと 「忘れたいから、忘れてんだよ!」  今はそう言い返してる。  忘れた時は、一緒に時を刻む、誰かが教えてくれる。 「忘れてもいいよ、何回でも言うから」 “愛してる”そう言う柊晴に 「大丈夫よ、何回でも、好きになるから」 “愛してる”私もそう言う。  私は、この人を人生の伴侶に選んだ。だけど、忘れてはならない。同時に私は、この人から人生の伴侶に選ばれた事を。世界でたった、一人。  私は失くしてしまったけれど、確かに存在したその過去は……柊晴の中に在る。人の気持ちは変わる。だけど、誓う、今。未来を誓えるのは今しかないのだから。  永遠に……“愛する”事を。
/440ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2193人が本棚に入れています
本棚に追加