エピローグ

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(れん)! もう落ち着きねぇな、お前」 「ほんと、パパみたぁい」 「え、(ゆい)ちゃん、パパはもっと静かだぞ? 」 「ゆい、うーちゃんとあっちで遊ぶ、パパキライ」 「え、キライ? なぁ、パパ、キライなのか? 」 「泣いてるんじゃない? 柊晴くん」 「本当だ、娘に嫌われて泣いてる」 「泣いてねぇわ! 」 「うっせぇ、お前も息子も! 」 京也くんがヨチヨチ歩きの蓮と克也くんを転けないように見てくれている。 「結、普段はパパ大好きって言ってるんだからな」 「はいはい」  結と初香(ういか)ちゃんは、来年幼稚園に行く年になった。  蓮と克也くんは1歳過ぎたあたり。もう歩き始めた。月齢は同じ。何か競い合ってるのかもしれないね、と春香と笑った。  上の子も下の子もどちらも同級生だ。 「克也も落ち着きないんだよなぁ。誰に似たのか……」  春香がムキになって 「1歳児に落ち着きなんてあるわけないでしょ! 」  京也くんにそう言い返す。間違いなく、落ち着きがなければ春香似だ。 初香ちゃんは少し人見知りして、春香の後ろへ隠れた。 「もう、初香! いつも会ってるでしょう? 」 「うーちゃん、いこ! 」  結に引っ張られて、おもちゃのところへと動き出した。 「春香みたいだな、結」 「光みたいね、初香」 「蓮は……柊晴くんのミニチュア」 「克也は……」 「柊晴みたいな男の世話かよー」  京也くんが不満げに言った。 「物静かな男がモテるらしいぞ? 」  柊晴が蓮を抱っこしてそう言った。 「どんな大人になるのかな」 「楽しみだな」 「この子達は、きっと覚えてないんでしょうね。今日の事も」 「……大丈夫、誰かが代わりに覚えてる」  春香がそう言った。この子たちの一番可愛い時期は……私達が代わりに、覚えている。
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