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プロローグ
生まれて初めて“一目惚れ”をした。
それまでは、こう思っていた。“一目惚れ”って要は、顔がどストライクだっただけだろう?
あながち、間違いではない。だけど、大きな隔たりがある。そんなんもんじゃない。
動けなかった。そこから。眼球さえ、稼働しない。それほどの……衝撃。
その相手は立ち上がり、目の前をトレーを返しに俺の前を通りすぎる。それは、もう一度俺の前を通るということだ。
外への通路はここしか……ないのだから。彼女が前に来ると、それ以上進むのを遮った。
──今もあの時の彼女を探している。あの日出会った彼女を。今でも愛してる。彼女を。
眩しい程に晴れたサラリと乾いた日だった。
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