かかってこいよαども

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 発情期とやらは確かに俺に訪れた。  だが、医者が言うようなものではなかった。 『お、お前がΩだと? 勘弁してくれよ!』  街を歩けば不甲斐ないαどもが嫌々俺に近付いた。 『なぜΩが出歩いている!』  怒鳴りながらベルトを外す奴もいた。 『クソ! 悪夢だ……!』  どれもこれも大した事ねぇ奴ばかり。  コイツら本当にエリートか?  偉そうな割にワンパンでダウンだぜ。  俺の発情の仕方は人とは違う。  見下してくる奴を倒す事が快感だ。 『またお前か! 失せろよΩ! 我が物顔で俺のテリトリーに入って来るな』 『化け物め! (はら)ませる気がないなら社会のゴミだ!』  どうしたエリート、優位に立てない事が悔しいか?  お前らが見境なく手を出した結果、俺みたいな子供が産まれたんだぜ?  種だけまいて、サヨナラ。  弱い奴を虐げて笑い、強い者には媚びへつらう。  反吐が出るほどつまんねぇ構造だ。  本能だから? 運命(さだめ)に従え?  笑わせんな。俺の生き方は俺が決める。  どこかの誰かが言ってただろ? “運命よ、そこをどけ、俺が通る“
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