かかってこいよαども

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 いつものようにαを殴る。  今では誰も俺に近付いて来ねぇ。  俺対策の薬が出たんだとよ。  今殴ってるのは他のΩを狙った奴だ。  突然発情期が訪れた子供を野外で襲った下劣なα。 『ありがとうございます』    まだガキ同然の女が走って逃げた。  本能で発情するなら繁殖行為を喜ぶはずだろ?  ならば“やめて”と泣き叫ぶ奴は、どうして存在する?  矛盾だらけのお話に、オメガバースはただのウイルステロだと思うんだ。 ーーーーーー 『そこまでだ。手を挙げろ』  サツが拳銃で左胸を狙う。  今日の俺はやりすぎた。  集団でガキを襲うαどもを“繁殖機能”を失うまでボコボコにしちまった。  手を挙げてサツに問う。 “なぁ、コイツらは本当に選ばれし人種か?”  サツは震えるガキを見て応援を呼んだ。 “本能に抗えず、ガキを泣かす奴のどこがエリートなんだ?”  サツは拳銃を下ろし、真っすぐ俺を見た。 『君が噂のΩだな』 “それがわかるって事はお前はαか?” 『全てのαが本能に抗えないわけじゃない。理性を保つ者もいる』 “お前はどっちだ? おまわりさん。薬で抑えてるのかい?” 『私はーー薬が合わない体質だ。理性で行動している』  なんだそりゃ。面白れぇなおまわりさん。 “その理性が本物か試そうぜ” 『どういう意味だ?』 “一晩俺と過ごそうぜ。見たところ、まだ独身なんだろ?” 『今から君を傷害罪で逮捕する。そんな遊びに付き合えないな』 “別に檻の中でも構わないぜ。……それにしても、αがΩを襲うのは【傷害罪】にならねーなんて笑えるよな” 『……君はΩの子を助ける為にやったのか?』 “単に俺はαを殴るのが快感なんだ。こう見えて一度も男とやったことねぇよ。あぁ、女とも無かったな” 『薬を服用しているのか?』 “いいや。俺はそういう発情はしねぇんだ。無性にクズなαをボコりたくなるだけ。 それでどうする? Ωでも理性はあるんだぜ。αのアンタは本能に負けるのか?”  サツは応援に来た奴らと何か喋った後、『君が二度とαを殴らないと約束するなら試してもいい』そう言って俺と一緒に牢屋に入った。
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