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ーー結論から言うと、俺はサツとの子を産んだ。
もちろんあの牢屋で結ばれたわけじゃない。
サツーーヤマトは俺の発情期の間ずっと一緒にいたが一度も手を出そうとはしなかった。
『ロドリゲスは将来何になりたい?』
『そうか。世界チャンプか。だから体幹がしっかりしているんだね』
ずっと俺の話を聞いてくれる。聴取ではなく好奇心旺盛の顔だったぜ。
時折困った顔をしていたが『君の話を聞けば聞くほど魅力的に感じる』と笑って言った。
“俺のフェロモンにやられたのか?”ときくと『そうかもしれない』と真顔になる。
『君にキスしたくなる。……ごめん、俺の負けだ。ロドリゲスの方が理性的だな』
しょんぼりするヤマトがなぜか可愛いと思った。
俺より小さくて華奢なヤマト。
別に襲われたっていいと思うようになった。
“番じゃないと結婚できないのか?”
そう問う俺に『そう決められているが、一緒に住むことは出来る』とヤマトが言った。
発情期が治まる一週間後、牢屋から出た俺に『もっと君といたい』とヤマトが泣いた。
『俺は君の運命の番じゃないかもしれない。でも君を知る度にどうしようもなく愛おしく感じるんだ。
ロドリゲス……君が好きだ』
運命なんて関係ない。俺の人生、俺が決める。
“結婚しようぜハニー。世界チャンプになってヤマトを幸せにしてやるよ”
ヤマトの顔が泣き笑いに変わった。
『俺もロドリゲスを幸せにしたい。一緒に幸せになろう!』
医者どもは『前例がない』と言った。
前例? それは俺たちが作り出すものだろ?
完
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