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「相良さん、今日は早いね」
放課後、三神くんよりも先に図書室に来た私に三神くんは、ノリを貸してと手を合わせてきた。
「ノリ? いいよ。どうしたの?」
「数学のノート、まだ出してなくて。プリントを貼っとくのを忘れてて…」
「はい、どうぞ」
「ありがとう。昨日は大丈夫だった?」
「送ってくれたじゃん。大丈夫だったよ。昨日は、本当にありがとうね」
「良かった。ノリ、ありがとね。ノート、職員室に出して来るから、少しよろしくね」
そう言って、ノリを返してくる三神くんの手と、私の手が一瞬だけ触れ合う。
「ふぁ…っ!?」
驚いて変な声が出た私には気付かずに、彼は図書室を出ていく。
「びび、びっくりしたあ〜」
はじめて触れた手は、とても暖かくて、彼は男の子なのだと改めて感じた。
それほどに、熱かった。
男の子は苦手。
実は、話すのも嫌だった。
でも、三神くんは平気だと知った。
けれど、不意に今みたいに手が触れたりするのは怖くてドキッとしてしまう。
せっかく仲良くなれたんだもん。
普通に接してもらいたい。
変に意識せずに、仲良しの男の子として笑い合いたい。
それなのに、一瞬だけの熱に頬が熱いのは何故だろう──。
やはり、男子は体温が高いのだ。
こちらにまで、その熱気が伝染するくらいに。
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