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「三神くんは──昨日、濡れなかった?」
ノートを出して戻ってきた三神くんに、気になってたことを聞いてみる。
だって、私の代わりに濡れてたみたいだったし。
「全然濡れなかったよ」
「そ、そうなんだ。良カッタ」
「どうして片言?」
「気にシナイデ」
ああ、声がひっくり返ってしまった。
──コホンッと咳払いを1つしてから、本の整理をしに行く。
窓から、サッカー部が部活をしているのが見える。
「おお、頑張ってるなあ」
今年は、とても可愛い1年が入ったんだとか。
入部率も、去年よりも2倍増えたらしい。
「いいよね、運動が出来る人はさ…」
今、気分が憂鬱なのは、明日の体育のせいだ。
明日は、50メートル走のタイムを計るんだよね。
「あーあ、サボっちゃおうかな」
いや、ダメダメ。
明日サボっても、後で1人計るよりは、さっさと終わらせたほうがいいんだ。
「よしっ!」
気合いを入れて、頬を叩く。
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