一寸法師の子孫?

3/6
前へ
/19ページ
次へ
3階を走って図書室へ駆け込んだ私は、荷物を下へ置いて急いで先生の元へ向かった。 「遅れてしまってごめんなさい!」 「すみませんでした」 隣で、三神くんも一緒に謝ってくれている。 三神くん、いい人……。 私のせいなのに。 「あらら〜、息を切らしちゃってるじゃない、走ってきたの? ダメだよ、廊下を走ったら」 先生の発言に、再び頭を下げた。 「少し遅れたくらい平気だよ。ほら、今日も人来てないし? でも、相良さんがいつも忘れずに来てくれるの、私は嬉しいな」 そう言って微笑(ほほえ)む先生は、軽く肩を叩くと、カウンターの椅子を指さした。 「まあ、座ってゆっくりしてて」 「はい。何か手伝う事はありますか?」 「じゃあ、書庫から英語の辞書を取ってきてもらうのを頼もうかな」 「はい、分かりました」 書庫へと続く扉を開ける私に向かって先生が、思い出したように呟いた。 「ああ、そうそう、辞書ね、少し奥の方にあるかもしれないわ」 「そうですか。あ、何冊必要ですか?」 「4冊くらいお願いね」 「は〜い」 書庫へ入るのは楽しみの1つでもある。 図書委員になって良かったことは、生徒は入る事のできない書庫に出入りができる事が大きいと思う。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加